連続テレビ小説『ばけばけ』髙石あかりが紡ぐ小泉セツの「怪談愛」と異文化夫婦

2025年9月29日（月）、ついにNHKの連続テレビ小説のバトンが渡されます。『あんぱん』に続き、2025年度後期を飾るのは、女優の髙石あかりさんがヒロインを務める『ばけばけ』です。

タイトルからしてユニークな本作は、明治時代の文豪ラフカディオ・ハーン（小泉八雲）の妻である、小泉セツさんをモデルに、その半生を大胆に再構成して描くオリジナルストーリー。島根・松江を舞台に、「怪談」を愛する女性の目を通して、急速に近代化が進む時代の裏で埋もれていった名もなき人々の心の物語に光を当てる、心温まる夫婦の物語です。

ヒロイン・松野トキ：時代の波に翻弄されながらも「怪談」を愛する

物語の主人公は、松江の没落士族の娘である松野トキ（まつのとき）。演じるのは、2,892人が応募したオーディションから大役を射止めた注目の若手女優、髙石あかりさんです。

トキは、武士の時代が終わり、父親の事業の失敗で極貧生活に追い込まれてしまうという、時代の大きな波に翻弄される女性です。しかし彼女は、目に見えないものにも心を寄せ、古い民話や怪談話をこよなく愛する、感受性豊かで少し変わった女の子。世の中が「うらめしい」と感じるような厳しい現実の中でも、ひたむきに生きるエネルギーを持っています。

タイトルの「ばけばけ」は、「化ける」をテーマにしています。急激な西洋化により人々の暮らしや価値観が変化していく明治の日本。その中で、トキがどう「化けて」いき、自分らしい幸せを見つけていくのかが、大きな見どころとなります。

異文化を超えて結ばれた夫婦の絆

そんなトキの運命を大きく変えるのが、ギリシャ出身のアイルランド人で、松江にやってきた外国人英語教師のヘブンです。ヘブンのモデルは、日本の怪談を世界に紹介したことで知られる文豪、ラフカディオ・ハーン（小泉八雲）。ヘブン役は、国内外1,767人が応募したオーディションから選ばれたトミー・バストウさんが務めます。

外国人教師の家に住み込み女中として働くことになったトキ。言葉や文化の違いに戸惑いながらも、二人は「怪しい話好き」という共通点から心を通わせていきます。

幼い頃に両親に見放され、居場所を探し続けて日本にたどり着いたヘブンと、没落した家系で世間の偏見にさらされながらも生きるトキ。互いの境遇が似ていることに気づいた二人は、やがて時代の壁、文化の壁を超えて国際結婚に至ります。

怪談話に耳を傾けるヘブンに、トキは故郷・松江に伝わる古い話や、時代に取り残されてしまった名もなき人々の心の物語を語ります。セツ（トキ）が語り、ハーン（ヘブン）がそれを書き残すという、二人の共同作業を通して、夫婦は「代弁者」として人々の心に光をあてていくのです。この、言葉の力で未来を切り開いていく夫婦の姿は、視聴者に深い感動と勇気を与えてくれるでしょう。

豪華キャストが脇を固める

『ばけばけ』は、主演の髙石あかりさんだけでなく、実力派の豪華俳優陣が脇を固めている点も見逃せません。

トキの父・司之介役に岡部たかしさん、母・フミ役に池脇千鶴さん、祖父・勘右衛門役に小日向文世さんといった、個性豊かな俳優陣が「松野家」を演じ、物語に深みを与えます。
さらに、トキの親戚で厳格な教育係的存在である雨清水タエ役を北川景子さんが、トキのよき理解者となる英語教師・錦織友一役を吉沢亮さんが務めます。
その他にも、堤真一さん、板垣李光人さん、佐野史郎さん、そして過去の朝ドラ『マッサン』でヒロインを演じたシャーロット・ケイト・フォックスさんなど、バラエティ豊かなキャスト陣の競演も大きな話題となっています。